梅安流

梅安は、鍋へ、うす味の出汁を張って焜炉にかけ、これを膳の傍らに運んだ。
大皿へ、大根を千六本に刻んだものが大盛りになってい、浅蜊のむきみもたっぷりと用意してある。
出汁が煮え立った鍋の中へ、梅安は手づかみで大根を入れ、浅蜊を入れた。
千切りの大根は、すぐ煮える。
煮えるそばから、これを小鉢に取り、粉山椒をふりかけ、出汁と共にふうふういいながら食べるのである。
このとき、酒は冷のまま、湯のみ茶わんでのむのが梅安の好みだ。

池波正太郎:梅安最合傘より


お昼にひとり鍋を梅安先生の仕様で、と思ったが、
浅蜊が無いのであっさりとあきらめて、くびた流で。